標準レンズ=フルサイズで50mmの都市伝説:人間の視野角に画角が近いのは本当か?【間違いだらけのカメラ知識:数々の偽科学】

標準レンズ ソニー

https://www.sony.jp/support/ichigan/lens/standard/

『画角が47°前後のレンズを標準レンズと呼びます。焦点距離でいうと50mm前後(APS-Cサイズのボディに装着する場合は35mm前後)のレンズです。
人間の視野に近い自然な画角、遠近感で写るので、街角のスナップ、ポートレート、テーブルフォトなど、いろんなシーンで使いやすいレンズです。』(上記ソニー記事より引用)

標準レンズ、広角レンズ、望遠レンズ

キヤノン

https://ptl.imagegateway.net/contents/original/glossary/%E6%A8%99%E6%BA%96%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%80%81%E5%BA%83%E8%A7%92%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%80%81%E6%9C%9B%E9%81%A0%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA.html

標準レンズとは画角が46度前後、【フルサイズカメラでは】焦点距離50mm前後のレンズのことで、いちばん人間の視角に近く、自然な遠近感の描写が特長です(上記キヤノン記事より引用)

と、どちらも46-47度の画角が、人間の視覚に近いという、完全な間違いではないけれど、きっちり正しいとまでは言い切れないことを

写真交換レンズの常識のようにしゃべっています

実際のところ、

人間は片目だと、視野角110ー140、両目で200度の角度の広大な視野角がありますが

脳内できちんとピントを合わせて認識しているのは、

通常は40-60度の視野で、凝視した時は、実際の視野角2度ということもある世界なのは、


フルサイズカメラでの標準レンズは50ミリの神話を検証(APS-Cサイズカメラでは33mm相当)【交換レンズ、標準レンズの基礎知識と学習】


の記事でお話ししましたが、

1:通常の生活で、人間が脳が特に細かく解析して認識している範囲は、画角でいうと40-60度の間である

2:人間の視野角は、円形(正確な資料が今ないのですが、やや横長の楕円に近いとも)

3:カメラは、人間とは異なり、レンズからの情報の、上下左右を切り取った、四角や長方形で画像を形成するので、

そこでの「人間の視野角」に相当するのは、

水平、垂直、対角

の三つ存在している

ということを忘れた論考や宣伝が多すぎ

写真でいう対角線とは、以下のような斜め線のことを言います

人間の視野角と、カメラでの対角線をカバーするレンズの画角は、にたようなものという考えから、カメラの対角線での画角=人間の視野角として説明をしようとか言うのがカメラメーカー、レンズメーカー、関連解説本、サイトなどには多いですが、

人間は円形で画像を認識しているのに対し、カメラでは、写真画像センサーやフィルムは(ほとんどの場合)は角形のため、レンズは円形の画像をカメラに送るものの、上下左右が切りとられていて、四角となり、水平画角と、垂直画角は、対角角度よりずっと少なくなるため、

実態としては、人間の見える世界と、カメラで切り取られた四角形の世界はこれだけ異なる(長方形は写真でよく使う3:2比率ではないですが、まあご勘弁)

人間の円としてみている世界の視野角を基準に、カメラの上下を切り取られた、四角の世界の対角線角度を、人間の視野角に近いものとして語るのは、正しい科学とは言えない まあこんな事、真顔で科学のようにしゃべっていた、昭和世代のやっていたのは、バカの作った受験の科学でしかなく、正しい科学ではなかったのだろうがw

例えば、フルサイズで50mmを使うとなると、

横位置で使うときの、水平の画角は39.59度

垂直画角(縦位置での垂直画角) 26.99度

と、実際には人間の普通に注目する視野角40-60度より、やや、狭い範囲しか、フルサイズでの「標準」50mmレンズはカバーしていないので

画角的には使いにくい、画角が狭いと感じる人が多数いるのは全く不思議ではない世界(仮に、写真が、人間が見ているのと同じく、円形に近い視野とかいうことになると、標準50mmが、画角的に使いやすいとかいうことも言われだすかも?)

カメラメーカーやレンズメーカー、カメラライターが対角画角がほぼ47度で人間の視野角に近いというのは、本当のように見えたりしますが、実際はカメラは人間と違い、見えたものの上下をカットしてしまうので、斜めの角度でしかない対角だけで、人間の視野角と同じというのは間違っていて、ほかの水平画角や垂直画角から見ると、間違った説明

フルサイズでは、50mmは標準レンズじゃ~とか、昭和は、念仏のように唱えて歩いていたのでしたw


さて、フルサイズでは

40mmだとどうなるか?

水平画角 48.4555°

垂直画角 33.3985

対角画角 56.812

水平画角と対角画角的には、人間の視野角に近い範囲なので、使いやすいという人が増えるのは当然

フルサイズで45mmレンズは、

水平画角 43.6555°

垂直画角 29.86

対角画角 51.35

と、水平と、対角画角では、人間の通常視野角の中に納まっていますね

さて、フランスのストリート写真の巨匠・ブレッソンは仕事ではあまり使わなかったものの、後年、フルサイズの35mmは素晴らしいんだよと、画角の使いやすさを述べていましたが、


生涯ほとんど(フルサイズ=ライカ判)では50ミリしか使わなかったHenri Cartier-Bresson(アンリ・カルティエ=ブレッソン)は、準広角レンズの35mmも実は大好きだった


フルサイズの35mmは、

水平画角 54°

垂直画角 37.8

対角画角 63.44

と人間の通常時の視野角40-60mmを、どの画角からみてもほぼ満たすレンズになります

ただ、人間とは違い、カメラとレンズは、パースペクティブ(遠近感)を補正しないので、被写体の大きさ(縦横で長いほう)の2.7倍くらいの、距離をとらないと、被写体がゆがんだ写真が出来上がります


人間の見た目に近く、レンズの歪みが補正される撮影距離:被写体の大きさの2.7倍以上の距離を取る【撮影目安の基礎知識】


35mmレンズをフルサイズで(APS-Cだと24mm)使う場合、被写体(モデル)と、近くによることが多くなる分、パース歪みが出やすく、顔や胴体が変形する度合いが高くなります。これはカメラのモデル(被写体)へのアングル(角度)を変えてみるとよくわかるのですが、

程よく変形するならかえって好ましいのです。ですが、フルサイズでの35mmは、ちょいとアングルを変えるだけでも、パースの変化で、被写体のゆがみが大きくなることが多いので、遠近感の誇張でうまく使えればいいのですが、モデルが変な具合にゆがむことも多く、

その辺、大部分の撮影で、ちょうどよい被写体の距離を保てることが多いために、多少のアングルの変化でも、パースが付きすぎて、大きくゆがむことがない、フルサイズでの50mmは、自然な遠近感=パースペクティブを表現するには使いやすいレンズとは言えます.

ただし、50mmやそれ以上の焦点距離の望遠レンズを使っても、より近距離で撮れば、パース遠近感が強くでて被写体がゆがみ、圧縮効果も低い写真が出来上がることは覚えておきましょう


50mmレンズで、アングルを工夫し、パースゆがみを生かして遠近感を表現する:ポートレート撮影と表現【学習参考資料】


まあ、この意味ではフルサイズ50mmは、標準的に使いやすいとは言えますが、単純な画角的には、むしろ人間の視野角からやや外れ、使いやすいとは言えない存在であるといえます

ただし、フルサイズでの50mmが作り出す、程よい遠近感(パースペクティブ)を、自然な遠近感と説明しているのは、これも実態としては、「偽科学」なんです

というのも、人間の脳のパース遠近感補正機能は優れていて、50mmレンズで生み出される、「自然」な遠近感は、実際の人間の認知には存在していないからですw

それでも50mmレンズの生み出す遠近感が好ましく見えることが多いのは、人間は普段認知している環境から少しずれた世界が、新鮮であったり、非日常的なものとして、感動する本能があるからです

動画でいえば、一秒30コマくらいが人間の認知能力から言って、正しいFPS再生速度ですが、そこから一秒24コマ24FPSと再生速度が落ちることによって、普段見ている世界と違う動きが再現されるため、人間が好ましく思うのと同じ理屈で

人間の見ている本来の自然から、少しずれた世界を再現したほうが、人間は非日常的な感動を見出すのです というわけでフルサイズ50mmの遠近感は「自然」ではなく、人間が好ましく見える遠近感を、人間が実際に認識しているものより誇張して再現している、偽りの自然の遠近感なんです


https://www.google.com

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50ミリが標準レンズというのは都市伝説

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「写真は50mmに始まり50mmに終わる」「写真は標準に始まり標準に終わる」という都市伝説デマ:実際はフルサイズで40-60mm(他のサイズのカメラなら換算でそれ)くらいの間なら全部標準レンズ


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